★ 第4回  ★


  『本朝法華験記』P63出羽国田川郡布山竜華寺の住僧。天暦9年(955)入滅。7日で
 蘇生  「別伝註」−妙達の「蘇生注記」の祖本はこれより以前。続々群書類従16『僧
 妙達蘇生注記』は天治2年(1125)の写本で、漢文体(宣命書き含む)、冒頭に欠文あ
 るが、因果応報談を改行なしで46話収める。
 『三宝絵』東京国立博物館本(東寺観知院旧蔵本)−漢字片仮名まじり、男子の通俗読
み物、説話ものに多い。上巻末に脱落あるが、ほぼ完全に近い本
      中巻末尾に「妙達和尚ノ入定シテヨミガヘリタル記」墨付22丁漢字片仮名ま  
じり。注記などからもとは草仮名書きと推測される。
    『僧妙達蘇生注記』東国説話集−筑前・河内の二国以外すべて京以東。それに西国12
  話を混入したもの。文永十年(1274)写観智院本

      天や地獄蘇生の他、
  4 信濃の国の高橋の保道、大般若経一部書写供養して舎衛国(舎衛城を首都とするり
  っしんべん橋薩羅国コ−サラ国、城の近郊、現在のサヘ−トに祇園精舎があった、遺
  跡のこる。インド東北部)第一の長者に生まれる。
  6 陸奥の国の壬生の吉廉(よしかど)、法華経千部を書写し、国分寺で供養した結果
  百済国第一の人にうまれる。
 8 出羽の国のオホウチノ景正金色の阿弥陀仏観音勢至二菩薩を作って、三重の塔に納
  めた。舎衛国の王となった。
 9 伊予の国のアガタヌシノ時春、最勝王経、金剛般若経書写、七重の塔、一万人の僧
  を供養して、クル国(鳩留国、仏陀の時代の16大国の一。デリ−、インド中央北に
  近いタ−ネサル一帯)の王となった。
 11 越後の国のイクエノ豊廉、大般若経曼陀羅一部書写して、舎衛国の王となった。
 12 甲斐の国の中原奥藤、大般若経法華経書写供養によって、せハラ国(世羅国?波波

  国?)の王となる。
 13 常陸の国の伴の恒クニ、金泥経百部、仏塔、弥勒菩薩などをつくり、モロコシの御
  門の王の子となった。
 15 丹後の国の竹野重通、法華経八部書写、薬師仏ほか諸仏を作り、モロコシの第二の
  大臣となる。
 16 常陸の国の大中臣助真、法華経八部最勝王経百部書写供養して、ケウサラ国の王と
  なる。
  17 紀伊の国のヒシオヒノ春忠、法華経書写で摩言可陀国の王となる。
 20 越後の国のシイクエノヨツネ、布施と大般若経法華経書写、寺の復興によって、ケ
  ウシラ国の第一の人となる。
  36 仁和寺の光仙、女御に思いをかけ、王舎城の南百里にキツネとなる。

 人から人への転生−その空間的広がり
  霊異記ではせいぜい「大和」「近江」「伊予」「京」であった。
 妙達は景戒よりおよそ百年後の人・・・・・
  印度、中国への転生。


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